2008年3月9日 星期日

網路上的社交網絡(Social Networking)影響美國總統大選

日本經濟新聞的Nikkei Business Online有一篇文章,分析網路行銷(Net Marketing)與社交網絡(Social Networking)是美國民主黨總統候選人Barack Obama崛起最大的原因。這證明了我想利用網際網路進行 (1) 傳承台灣人的精神,(2) 傳遞民主的香火,(3) 達成台灣建國的目標等工作的方向是對的。最重要的是將老一輩台灣人的智慧與經驗傳給下一代,揭發中國國民黨一直不斷的惡行,這是對長久以來,中國國民黨控制的媒體所導至人民錯誤意識的最大挑戰。我堅信我們一定能成功,因為上天賜給這一代台灣人Web2.0這麼好的工具,台灣建國的時機已經來臨,大家努力。

文章的大意是說,2008美國的總統選舉,造成美國人前所未有瘋狂的參與,是一般人民渴望政治的改變心切,利用社交網路一傳十,十傳百蔚為莫大的風氣。話說黑人候選人奧巴馬,自從1月3日的愛荷華州勝利之後,發表勝利宣言,被上載到YouTube,這一話題傳遍網際網路,12小時內有16萬人點選視聽。之後大群的奧巴馬支持者,將同一支勝利宣言的Video上載到各個網站,很快的到2月25日,已有200萬人以上點選視聽。同一時點到奧巴馬的YouTube網站頻道造訪的有1221萬243人次觀看706支Video,相對的同一時段內,到克林頓夫人的網站頻道造訪的只有139萬2852人次觀看273支Video,約十分之一而已。

這股「奧巴馬的狂熱」也影響了選舉資金的募款。一向靠著利益團體、大企業、有錢人的政治獻金,所把持的選舉活動,這次卻靠著所謂「草根型」的社會運動增加募款。從2007年一月到2008年一月,奧巴馬募得1億3820萬美金,克林頓夫人募得1億2100万美金,奧巴比馬克林頓夫人多募得1720萬美金。不過單今年1月一個月裏,奧巴馬募得3600萬美金,克林頓夫人只募得1390萬美金,差了2.6倍。2月20日的New York Times的報導,引述奧巴馬的1月的政治献金3600萬裏頭,2800萬是網路線上募得的個人獻金,當中90%是100美元以下,這裏頭40%更是25美元以下的小額獻金,這完全是獲得了一般民眾的支持的證明所現。在美國總統初選個人獻金的上限是一個候選人2300美元。

以YouTube、MySpace、Facebook代表的社交網路媒體功不可沒。針對奧巴馬陣營支持的電子信件,部落格的投稿,動畫的製作上傳,自動自發利用各式各樣媒介幫助傳播,造成不可忽視的風氣。再者奧巴馬的正式網站揭櫫「The Goal: One Million People own this campaign(目標:100萬人擁有這個選舉)」,奧巴馬如當選總統就是這参加選舉的一人一人幫忙推動「政治改革」的成就。加強一般百姓積極參與的意願,因為雖然我只有一個人,但也是可以幫忙改變的。文章並比較奧巴馬的網站與克林頓夫人的網站所使用的選舉語言的不同特徴做分析。 結果發現,

奧巴馬的網站首頁
 ・Change We Can Believe In(我們相信我們能改變)
 ・“I’m asking you to believe. Not just my ability to bring about real change in Washington… I’m asking you to believe in yours.”(我請求你們相信自己。不只是相信我的能力能改變華盛頓的政治環境,我請求你們相信你們自己也能參與這項政治改革)
 ・Join The Movement(一起來加入我們的運動)
 ・Get Involved(一起來參與)
 ・Powered by Hope(用希望的力量,讓我們動起來)

克林頓夫人的網站首頁
 ・Hillary for President(選希拉蕊為總統)
 ・Help Make History!(幫我們創造歴史)
 ・“Only you…Our incredible online community…Can act quickly and decisively enough to create a level playing field. And with everything on the line, that’s exactly what I’m asking you to do.”(偉大的線上的各個團體,只有你們趕快且明確的行動,才能造就一場公平的競争,現在是最重要的時刻,我們需要你的幫忙)
 ・Women for Hillary(女性們請支持希拉蕊)

從這裏可以看出,奧巴馬和克林頓夫人兩陣營傳達訊息有很大的不同。奧巴馬把支持者稱為好朋友(Peer),一起來進行政治的改革。用的是「You」、「We」的字眼,邀請支持者自動自發的參與。Marketing的手法是現在流行的「CGM (Consumer Generated Media) 」與「UGC (User Generated Content)」,跟過去傳統的使用大眾媒體的手法截然不同,這也反映在兩陣營的廣告內容標語裏頭。奧巴馬重視年青的一代(Generation Y)積極參與的情緒,說穿了就是,利用各人一個一個創造出來的content內容而已。

值得一提的是,2008年2月20日的Washington Post的報導指出,Social Networking網站 Facebook裏,2年前的2006年7月,Bowdoin College 的女大學生Meredith Segal組織一叫做「Students for Barack Obama」的團體。Segal有感於奧巴馬先生在2004年著名的民主黨大會上一舉成名演說,在Facebook裏發動促請奧巴馬選總統的署名運動。她的這個團體的支持者一下子急速增加,全美80所大學設置有支部,達6萬2000人的成員之多。另外48萬人的支援團體「One Million Strong for Barack」,從一開始以來,一時間內100人,5天內1萬人,3週內20萬人,1個月達28萬的高速成長。順便提到,2月下旬的時點,Facebook裏支持奧巴馬的有62萬8125人,支持克林頓夫人的有12萬3763人。玩Social Networking的大學生裏,奧巴馬有壓倒的支持。很多學生在自己的部落格裏,將奧巴馬的照片及他的演說,與自己的生日的照片,喜歡的音樂及一些個人的內容放在一起,表達個人與總統候選人強烈的向心力。也是一個很值得注意的社會現象的演變。

「只想把自己感受到的感動和經驗分享給他人」是,一口一口傳下去(Word of Mouth)最大的原動力。各式各樣的人在任何場所,利用網際網路24小時365天,談論自己的感動的興奮,所造成的超大型選舉運動。奧巴馬陣營善用Internet的特性,激發支持者,他們再利用很容易使用的工具(部落格、社交網絡),自發性的口述或寫文章傳播下去,達到一定成功的效果。對今後的政治選舉活動產生劃時代的影響。

原文如下:
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第20回
バマ候補の選挙戦に見るソーシャルメディアの役割



2008年の最初の「YouTube Moment」は、オバマ候補のアイオワ州の勝利スピーチ

 2008年は大統領選挙の年である。普段政治や選挙のことを口にしない人間も含めて、多くの米国人が一種異様なまでの熱狂ぶりで、「大統領候補者に関する会話」をオンライン・オフラインを問わず行っている。この熱狂を作り出した大きな要因の1つは、1月3日のアイオワ州の民主党大統領候補選挙における、バラク・オバマ候補の劇的な勝利だったと言っても過言ではない。

 アイオワ州は、およそ300万人の人口のうち白人が95%を占めている。選挙前の下馬評は、元大統領夫人でありニューヨーク州上院議員としても抜群の知名度と組織力を誇るライバルのヒラリー・クリントン候補の優位で進んでいた。しかし多くの予想を裏切って、白人層の支持を取り付けたオバマ候補が勝利を獲得。マスメディアを含めて米国民に「もしかしたら黒人初の大統領誕生という歴史的な変革が起きるのでは?」という大きな期待を抱かせた。Nielsen BuzzMetricsの分析によると、1月3日のアイオワ州予備選以降にオバマ候補に言及したブログは、急激に増加して、ライバルのクリントン候補やマケイン候補を圧倒的に離して、巨大な「WOM(Word of Mouth:クチコミ)」を創出している。

 勝利宣言のスピーチは、オバマ候補のYouTubeの公式チャンネルによって、即座にアップロードされ、12時間以内に16万人がこのビデオクリップを視聴した。その後多くのオバマ支持者が同じスピーチをYouTubeに投稿した結果、アイオワ州のスピーチを紹介する動画の本数は200を超えた。これらのビューを合計すると2月25日時点で合計200万人以上が視聴したことになる。オバマ候補のYouTubeの公式チャンネルは、2月25日現在で706本のビデオをアップロードして、合計1221万243のビューを獲得している。これに対してクリントン候補の公式チャンネルは273本のビデオで139万2852のビューを得ただけにとどまった。両者の公式チャンネルを見ると、オバマ候補はクリントン候補より10倍近いビューを獲得していることになる。米国人とインターネットの関係を調査研究するPew InternetのアナリストAaron Smith氏は、このオバマのアイオワ州での勝利のスピーチのビデオを「YouTube Moment」と呼んで、4年前の大統領選に比べて、いかにインターネットが政治のランドスケープを変えてしまったかを指摘している

グラスルーツのオンライン献金者が成功の鍵を握った

 「オバマ・マニア」という言葉まで生み出したオバマ候補への熱狂は、従来の企業・団体・ロビイスト・富裕層に政治献金を依存し、組織力によって集金・集票する「ワシントンスタイルの選挙」とは異なる。一人ひとりの支持者に直接資金や人的援助を呼びかけるグラスルーツ(草の根型)のソーシャルキャンペーンといえる。特にYouTube、MySpace、Facebookに代表されるソーシャルメディアが果たした政治的な役割は大きい。オバマ陣営からキャンペーンメッセージの発信、候補者へのサポートの呼びかけがあるだけでなく、支持者によるオバマ候補に関するブログや動画の投稿、さらに政治資金調達においてもソーシャルメディアは重要なチャンネルとして機能している。以下に、4人の候補者の資金調達の数字を挙げる。

表●4人の大統領候補者の政治献金

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(注:3月4日の予備選の結果、共和党ではマケイン候補の指名が確定した)

出典:http://www.msnbc.msn.com/id/23273781/
(1ドル=110円で計算。以下同様)

 調達できた政治献金の総合計では、オバマ候補が1億3820万ドル(152億200万円)で、クリントン候補の1億2100万ドル(133億1000万円)と1720万ドル(18億9200万円)の差となっているが、1月だけで見るとオバマ候補は3600万ドル(39億6000万円)、クリントン候補は1390万ドル(15億9000万円)と2.6倍という圧倒的な差でオバマ候補がリードしている。2月20日のNew York Times紙の記事によれば、オバマ候補の1月の政治献金3600万ドル(39億6000万円)のうち2800万ドル(30億8000万円)はオンラインの個人献金から来ており、これの90%は100ドル(1万1000円)以下、さらにそのうちの40%は25ドル(2750円)以下と、小額献金者のグラスルーツのオンラインサポートが、この膨大な金額を生み出している(米国では、予備選挙における個人献金の上限は、候補者一人につき2300ドル=25万3000円までと定められている)。

 オバマ候補への熱狂は、ニューハンプシャー州でクリントン候補に敗れた後も衰えることがなく、クリントン候補が同州で勝利を確定した後3時間以内で50万ドル(5500万円)、翌朝には75万ドル(8250万円)、その後2日間で440万ドル(4億8400万円)を集めるという凄まじい記録を作った。2008年1月は1日平均116万ドル(1億2760万円)以上というハイペースで献金が集まっている。さらに30万人近い1月単月の献金者のうち、20万人以上は初めての献金者であると発表されており、オバマ陣営のグラスルーツ戦略は資金面で大きなアドバンテージをもたらしている。ここでのポイントは、このグラスルーツの献金によって獲得した資金を、オバマ陣営は1月5日から2月5日までの1カ月間で、テレビCMを中心とする広告におよそ1600万ドル(17億6000万円)つぎ込んだことだ。これにより、知名度がクリントン候補に劣るという弱点を一気に改善した。クリントン陣営は同時期に400万ドル(4億4000万円)少ない1200万ドル(13億2000万円)しか広告に使わなかった。11月の本選挙のために政治献金の支出を抑える戦略をとったことで、キャッシュフローがきつくなった結果、クリントン候補は個人ローンで500万ドル(5億5000万円)を借りる資金難に陥り、さらにオバマ陣営のリードを許すことにもなった。

「You」と「We」をキーワードに仲間を増やしたオバマ候補の選挙戦

 こうした政治資金の調達額はもちろん重要であるが、さらに重要なポイントは個人献金者の数である。献金者はそのまま候補者の投票数に直結し、さらに彼らは候補者のエバンジェリスト(伝道者)となって、家族や知人・友人を含めた自分の所属するコミュニティに候補者支持を訴えて、巨大な「WOM」を創出する。個人献金100万人を目標に掲げるオバマ陣営には、2月25日現在で97万4152人が献金しており、目標達成に大きく近づいている(注:2月28日で100万人を達成した)。また、オバマ候補の公式サイトには、大きく「The Goal: One Million People own this campaign(目標:100万人がこの政治キャンペーンを所有すること)」と掲げて、オバマ個人が大統領になること以上に、このキャンペーンに参加する人々が「政治的な変化」を推進する主役であると明解に示している。以下にオバマ候補とクリントン候補がWebサイトのトップページ上で使用している言葉を比べて、その特徴を分析してみる。

オバマ候補の公式サイトのトップページ
 ・Change We Can Believe In(我々が信じることが出来る変革)
 ・“I’m asking you to believe. Not just my ability to bring about real change in Washington… I’m asking you to believe in yours.”(私は、あなたがあなた自身を信じることを願っている。それは、ワシントンにおける真の変革を行う私の能力だけではなく、あなたがあなた自身も変革が出来るということを信じることを願っている)
 ・Join The Movement(ムーブメントを一緒やろう)
 ・Get Involved(一緒にやろう、参加しよう)
 ・Powered by Hope(希望というパワーによって動いている)

クリントン候補の公式サイトのトップページ
 ・Hillary for President(ヒラリーを大統領に)
 ・Help Make History!(歴史をつくるために助けよう)
 ・“Only you…Our incredible online community…Can act quickly and decisively enough to create a level playing field. And with everything on the line, that’s exactly what I’m asking you to do.”(この素晴らしいオンラインコミュニティだけが、公平に競争できるフィールドをつくるために、素早く明解に行動することができる。今は最も重要な時なので、私はあなたたちにそれをやって欲しいと願っている)
 ・Women for Hillary(ヒラリーをサポートする女性たち)

 こうしたサイト上の表現を見ると、オバマ候補とクリントン候補の支持者への呼びかけの姿勢に大きな違いがあることがわかる。オバマ候補のアプローチは、サポーターを仲間(Peer:ピア)とみなして、一緒に政治の変革を行おうという姿勢を強く打ち出している。「You」と「We」をキーワードとして使って、支持者の自発的な行動を促しているのだ。これは、いみじくもマーケティングにおけるマス媒体を使った旧来型の手法と、現在の「CGM (コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア) 」や「UGC (User Generated Content:ユーザー創出コンテンツ)」を主体とするマーケティングの違いが、そのまま両候補者のコンテンツに反映していると見ることもできる。オバマ候補が早くから20代を中心とする「ジェネレーションY」(Milennials:ミレニアルズ・世紀末世代と呼ばれ、区分は諸説あるが一般に1977年から1999年までに生まれた8~30歳まで)とエンゲージできた(精神的な絆を強めた)理由は、こうしたCGMなどを重視する姿勢にあった。

オバマ陣営のソーシャルネットワークによる「エンゲージメント効果」

 オバマ候補とジェネレーションYとのエンゲージメントは、2年前の2006年7月にさかのぼる。2008年2月20日のWashington Post紙の記事によれば、Facebookには、500以上のオバマ支持グループが存在するが、最初のきっかけを作ったのは、Bowdoin College の女子大生Meredith Segal氏のグループ「Students for Barack Obama」であるという。Segal氏は、オバマ候補に一躍全米レベルの知名度をもたらした2004年の有名な民主党大会のスピーチに感銘を受けて、Facebookでオバマ候補に大統領への出馬を促すための署名ページを立ち上げた。彼女のグループは急速にメンバーを集めて広がり、今では最も組織化されたグラスルーツの学生のムーブメントとなって、全米80の大学に支部を持ち、6万2000人近くのメンバーを抱える重要な支援団体となっている。また48万人のメンバーを抱える支援団体「One Million Strong for Barack」は、グループ活動を始めた一時間後に100人、5日間で1万人、3週間で20万人、1カ月で28万近いメンバーを獲得するという凄まじいスピードで、バイラル化して広がっていった。ちなみに2月下旬の時点では、Facebookでオバマ候補には62万8125人、クリントン候補には12万3763人のサポーターがいる。もともと大学生のSNSとしてスタートしたFacebookでのオバマ候補の強さは圧倒的である。多くの学生たちは、自分のプロファイルページに、誕生日の写真や好きな音楽やスポーツという個人的なコンテンツと一緒にオバマ候補の写真やお気に入りの彼の発言をポスティングしており、候補者と個人的な強い絆を共有している。

 また、オバマ候補の公式サイトには、通称「MyBo」という独自のソーシャル・ネットワーク・チャンネルもあり、このツールによって支持者たちのネットワーキングが大いに助けられている。このサイトにリンクを張っているソーシャルメディアは、Facebook、MySpace 、YouTube、Flickerのような大手のSNS以外に、ヒスパニック・黒人・アジア系・ゲイなどのマイノリティのサイトや、Twitterのような新しいSNS、さらに携帯電話でのアクセスも用意されている。

 ・Facebook
 ・MySpace
 ・YouTube
 ・Flicker(写真共有サイト)
 ・Digg(ユーザ投票によるオンラインコンテンツサイト)
 ・Twitter (IMを使ったブログおよびSNS)
 ・ Eventful(イベント情報サイト)
 ・LinkedIn(ビジネスのためのSNS)
 ・BlackPlanet(黒人の最大のSNS)
 ・Faithbase(MySpaceの中でも信仰にフォーカスするSNS)
 ・Eons(50歳以上を対象とするSNS)
 ・Glee(ゲイのSNS)
 ・MiGente(ラテン系の人たちのSNS)
 ・MyBatanga(ラテンミュージックのインターネットラジオ)
 ・AsianAve(アジア系アメリカ人のSNS)
 ・DNC Partybuilder(民主党のオンライン献金およびソーシャルオーガナイズのためのツールサイト)

 もちろんクリントン候補のWebサイトにもSNSのリンクや携帯電話でのアクセスもあるが、SNSは、MySpace、Facebook、YouTube、Flicker、Econsの大手サイトの五つのみである。クリントン候補とオバマ候補のSNS活用の大きな違いは、クリントンのFacebookのグループメンバーの数の少なさに表れている。彼女のサポートグループのメンバーは、最大でも2000~3000人にとどまる。その一方で、FacebookなどのSNSに「アンチ・クリントン」グループを立ち上げる動きも目立っており、クリントン候補がSNSを通じて支持者とのエンゲージメントに成功しているかという点に関しては、疑問が残る。

オバマ候補支持の音楽ビデオがYouTubeを通じてバイラル化

 SNSと並行して重要な役割を果たしているのが、オンラインビデオサイトにあげられるUGV (User Generated Video: ユーザー創出ビデオ) である。すでに独立したメディアとして、市民が意見を発表する場となったYouTubeでは、オバマ支持者たちが自発的な候補者支持を訴える政治的キャンペーンを展開している。その代表的な事例の一つとして、2008年1月スタンフォードの2人の大学生によってYouTubeに立ち上げられたオバマ候補の支援チャンネル「YouBama (Citizen Generated Campaign:市民によるキャンペーン)」が挙げられる。ユーザーの投票によって人気のビデオが上位に上がるDigg方式で、サイトでは一切の広告を入れずに、ユーザーはなぜ自分がオバマ候補を支援するかを表現するためのコミュニティサイトとなっている。

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図●YouTube内に設けられたオバマ候補の支援チャンネル「YouBama」のロゴ

 一般のユーザーのビデオに混じって、WebサイトCraigslistの創設者Craig Newmark氏、俳優のGeorge Clooney氏、バスケットボールのプレーヤーのCharles Barkley氏など著名人のビデオもあり、スタートして2カ月足らずで、すでに50万以上のビデオがアップロードされている。

 さらに、オバマ候補支持の強力なミュージックビデオが、2月2日にYouTubeにアップロードされた。Black Eyed PeasのWill.i.am氏による「Yes, We Can!」である。これは、オバマ候補の1月8日のニューハンプシャーのスピーチにインスパイアされたものだ。

 ビデオは、あっという間にバイラル化(広範囲に短時間で浸透させること)した。2月25日時点でオリジナルのビデオを含めて10以上の同じビデオがアップロードされて、合計1097万9542のビューを獲得した。Will.i.am氏は、今まで政治にはかかわっていなかったが、オバマ候補のスピーチを見て、「マーティン・ルーサー・キング牧師や、ケネディ大統領、リンカーン大統領などが歴史的に戦って勝ち得た現代という時代を改めて考えて、自分もこの変革にかかわりたいと思い、仲間のミュージシャンと一緒に一気にこのビデオを制作した」と語っている。Jesse Dylan氏, Common, Scarlet Johansson氏, Herbie Hancock氏, Nicole Scherzinger氏など人種を超えた著名人が参加するビデオは、オバマ候補のスピーチがそのまま歌詞と重なり合って、最後に「HOPE(希望)」という言葉が「VOTE(投票)」に変わるという質の高いビデオに仕上がっている。Will.i.am氏は、オバマ陣営には事前に一切連絡をせず、あくまでも自らの意思でこのビデオを制作したと強調する。実際、作者の強い思いを感じさせるビデオだ。すでにオバマ候補の公式サイトにも、サポーターからとしてこの動画へのリンクが張られている。

 オバマ候補はSuper Tuesdayと呼ばれた2月5日の全米各地の大票田の州での投票では、クリントン候補と五分五分で引き分けた。しかし、それ以降は各州・地区で9連勝という快進撃を続けた(編集部注:3月4日の予備選ではクリントン候補がオハイオ州などで勝利した)。クリントン候補の支持基盤である年配の女性層や、ヒスパニック、ブルーカラーの勤労者層からの支持も取り付けはじめている。すでに「Yes, We Can!」が誰でも知っている大きなバズとなったように、「市民の政治参加」という新たな熱狂を持ち込んだオバマキャンペーンは、人種(白人・黒人・ヒスパニック)・性差(男性・女性)・年齢・年収・教育レベル・党派(民主党、無党派、共和党)を超えて広がっている感がある。

 「思わずほかの人に伝えたい感動や経験」、これがWOMを生む大きな原動力である。インターネットでは24時間365日、様々な人が様々な場所で、こうした自分の感動や興奮を語り合っている。オバマ候補の選挙キャンペーンは、このインターネットの特性を的確にとらえて、支持者をインスパイアして、彼らがコミュニティで自発的にWOMを共有・循環がしやすいようなツールやプラットフォームを提供して一定の成功を収めている。今後の政治キャンペーンのあり方を変える画期的なものといえる。

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